京浜工業地帯・撮影日誌 | つぶやきかさこ

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先週、鶴見線に乗って京浜工業地帯の写真を撮影した。
鶴見線に沿って、末広町島・安善町島・白石&大川町島の、3つの島を撮影した。
しかしまだ一番大きな扇町の島だけは回りきれなかった。
だから翌週、再び京浜工業地帯に行こうと思った。

そんなこともあって、なんとなく京浜工業地帯の写真を引っ掛けると、
美しい夜景の写真をアップしているサイトがいくつかあった。
どうも湾岸エリアのドライブついでにたまたま目にして撮ったという感じだ。
撮影された場所がどのサイトも「ちどり公園」だった。
私は神奈川の地図で調べたら、ちどり公園は、鶴見線が通っていない場所、
扇町からまだ2つ先の島だった。

鶴見線が通っていない島、かつ夜景。
はてどうしたものか。
私は久々にチャリンコを使って撮影旅行に出掛けることにした。
夜景を撮るため出発は16時と遅めだ。

私はひどいアレルギー性鼻炎で今、花粉症のせいかひどい鼻水状態なのだが、
集中力の妨げになるマスクはしていないが、そんな私がマスクを購入した。
なぜなら、京浜工業地帯はひどい異臭と砂塵でまみれているからだ。

撮影旅行にできればチャリンコは使いたくなかった。車も論外。
できれば歩きが一番ベストだ。
歩くスピードだからこそ、歩いている視線だからこそ気づく被写体があるからだ。
とはいっても、家からめざすべき京浜工業地帯にあるちどり公園まで片道8kmはある。
やむを得ないがチャリンコを使う。

そして私は地図を行きながら思わぬ事実に気づく。
鶴見駅から京浜工業地帯に行くまでの間にある町、
そこが昨年、訪れた鶴見沖縄&南米タウン(2004/11/16のつぶやき)なのである。

鶴見川南側には沖縄料理店や南米料理店が10軒以上集まっている地区がある。
そこには沖縄や南米から移り住んでいる多くの人たちがいまもなおいる。
その地区のちょっと先が、京浜工業地帯なのだ。

ちなみに川崎のグルメスポット、コリアンタウンもすぐそばが京浜工業地帯だ。
異臭にまみれ砂塵にまみれた汚染地帯。
そこで働く大量の工場労働者。
そのすぐそばに外国人移民地区。
無関係ではあるまい、と思う。

鶴見線沿い&産業道路ををチャリンコでこぎながら、めざすべきちどり公園の1つ手前にある島、
水江町島に向かった。
水江町島の手前、夜光という不気味な町の名前にある港から、
時間がちょうど夕暮れ時で、真正面にどでかい工場がある、とても美しい夕景が見られた。
地図で見ると東亜石油工場らしい。
やはり、この辺は石油工場が多いらしい。
地震が起きたら、京浜工業地帯はきっと火の海だろうなと思う。
東京湾に石油が注ぎ、泥まみれのやらせ水鳥でも見れるのか。
恐ろしいなと思う。
でかい工場のわりに、どこも見るからに老朽化していそうだからだ。

ここ以外はあまりいい撮影ポイントがなく、いよいよ暗くなってきた工業地帯を、
めざすべき千鳥町島へと自転車をこぐ。
そこで私は驚いた。
千鳥町島の入口にはセブンイレブンがあったのだ。

店がほとんどない工業地帯でコンビニがあったことに驚いた。
それだけでなく工業地帯で働く人たちが結構このコンビニを利用して繁盛しているのだ。

千鳥橋を渡り、千鳥町島へ。さすがに島自体にはコンビニはない。
暗闇の工業地帯は不気味だ。
しかし土曜日のせいかまばらだが働く人の姿が見受けられる。
いやだよな。こんな強烈なシンナーのような異臭のする工業地帯に毎日働くなんて。

撮影スポットでもあり一番のゴールであった千鳥公園は暗闇に包まれ恐ろしかった。
車はここから先は川崎港海底トンネルを通って、東扇島というこれまた人口島に出る。
私は公園内の暗がりをただひたすら先端の海が見える場所めざしてチャリをこぐ。
途中、公園から一歩通りに出て、電灯が照らしているところに猫が2匹。
おまえら、こんなところで生きているのか。
しかし猫がいるということはきっと食い物があるに違いない。
ニンゲンがいる可能性は大だ。

再び木々に囲まれた公園内をチャリで走り、やっと海が見える場所に出た!と思いきや、
そこにはなんと、夜釣りを楽しむ7、8人の男たちが。
彼らもこの暗闇の公園を通ってきたのか。
人がいて幾分ほっとする。やはりここにも猫がいる。やはりな。
それにしても京浜工業地帯は至るところに「釣り禁止」の看板があるのだが、
この暗闇の中で、わざわざ三脚持って鶴見からチャリで写真を撮りに来る奴も酔狂だが、
ここで夜釣りをする奴もなかなか酔狂だろうと思いつつ、
これだけ人がいるということは絶好の釣りスポットなのだろう。
もちろん水は汚い。しかし釣った魚を食べない限り、
釣れれば水の汚さは釣り人には関係ないのだなと妙に感心したりする。

この千鳥町島のさらに先の島には浮島町島があり、その隣の島が羽田空港である。
羽田空港の先は、私が先日撮影したモデル写真の品川埠頭やら大井埠頭であり、
その先が、お台場、浦安と続く。
逆に、鶴見より南の島に行くとしばらく京浜工業地帯の島々が続くが、
すぐその先が、先日撮影したみなとみらいエリアにでる。

この妙な位置関係がなんともいえないな。
東京にいれば、みなとみらいの夜景を見にいくだろうし、お台場にも行くだろうし、
羽田空港も利用するだろうし、ディズニーランドのある浦安も行く。
こうして東京・横浜ベイエリアは1つの観光スポットなわけなのだが、
その間にある数々の島々には、強烈なシンナーくさい異臭が漂い、砂塵がまいちり、
そして在日米軍の石油貯蓄所がある、京浜工業地帯がある。
そこには数多くの名の知れた大企業の工場がある。
東芝などがそのいい例だ。

私の鶴見の家のそばには東芝の社宅がごまんとある。
なるほど、なぜ鶴見という町は社宅が多いのかと思いきや、
京浜工業地帯の工場で働く人たちのベッドタウンだったというわけだ。

こうして私は、再び1つ1つの島々の夜景を撮りながら、鶴見へと帰っていった。
夜22時を過ぎていた。京浜工業地帯は広いのだ。

そして京浜工業地帯の一旦の島の脇を流れる大河が、私がさかのぼった鶴見川の河口である。
鶴見川のぼりをしたので、逆に河口はどうなっているのかいつか歩いてみたいなと思っていたが、
なんのことはない、京浜工業地帯の工場群の運河と化した河口なのである。
しかも地図を見る限り、鶴見線が鶴見川をまたぐ南は、川沿いの土手もなさそうだ。
海沿いは工場のある企業の敷地で覆われているから。

こうしてまた私のささやかな酔狂な撮影旅行は終わった。
いや、まだ横浜側の京浜工業地帯の島々はいっていないし、
羽田空港の手前の浮島町島にも行かなくてはならない。
まあしかし、昼はいいんだけど、夜、チャリをこぐのはかなりしんどいから、
余力があった時の楽しみにとっておこう。

京浜工業地帯の夜景はいつまで見れるのだろうか・・・。